ふくめんとは?こんにゃくを四季の色のそぼろで覆う、宇和島の祝いの鉢盛に欠かせない郷土料理

宇和島の祝いの席で、大きな器に盛られたごちそうの中に、ひときわ色鮮やかな一品があります。ピンク、白、緑、オレンジの4色が、こんもりとした山を覆う「ふくめん」です。
見た目は華やかなのに、中身は意外なもの。細く切ったこんにゃくの上を、魚のそぼろなどですっかり覆っています。宇和島市周辺で受け継がれてきた、祝いの席に欠かせない郷土料理です。
ふくめんはどんな料理?
主な材料は、白身魚とこんにゃくです。
細く切ったこんにゃく(糸こんにゃく)を下味をつけて煮て、皿にこんもりと盛ります。その上を、ゆでてほぐした白身魚に砂糖などで味をつけた「そぼろ」で覆い、仕上げにねぎとみかんの皮を飾ります。そぼろの一部は食紅で色をつけ、ピンクと白の2色にします。
甘めに味つけしたそぼろと、つるっとしたこんにゃくの組み合わせは、ほかではなかなか出会えない食感です。
ふくめんの盛り付け(イメージ)
4つの色で四季を表す
ふくめんの色には、それぞれ意味があるといわれています。
- ピンクのそぼろ:春
- 緑のねぎ:夏
- オレンジのみかんの皮:秋
- 白のそぼろ:冬
ひと皿で四季を表すことから、めでたい「ハレの日」の料理として振る舞われるようになったといわれています。みかんの産地・愛媛らしく、みかんの皮が彩りに使われているのも特徴です。
名前の由来は「覆面」?
「ふくめん」という名前にも、いくつかの説があります。
- 宇和島では、こんにゃくのことを「山ふく」と言い、それを麺のように細く切って使うので「ふく麺」
- こんにゃくが見えなくなるほど、そぼろですっかり覆う(覆面する)から
- 材料を細かく切ることを「ふくめ」と言うから
どの説も、この料理の姿をよく表しています。
宇和島藩の行事食から
ふくめんは、宇和島藩の行事食として伝わったといわれています。主な材料のこんにゃくは、こんにゃく芋から作られます。こんにゃく芋は江戸時代の飢饉のときにもよく収穫できたため、食料を確保するために栽培されるようになりました。身近な材料を、手間をかけて華やかな祝いの料理に仕立てた、宇和島らしい知恵が感じられます。
祝いの鉢盛料理に欠かせない一品
宇和島市周辺では、祝い事があると、大きな器にごちそうを盛って大勢で分け合う「鉢盛料理」が作られます。その鉢盛に欠かせないのが、ふくめんです。
- 祭りや正月など、人が集まる宴会
- 結婚披露宴や長寿祝いなどのハレの日
- ふだんの宴会の一品としても
見た目が鮮やかで、老若男女に親しまれてきたふくめんは、今も宇和島の祝いの席を彩り続けています。
家でつくるときの流れ
家庭でつくるときの流れは、おおよそ次のとおりです。
- 白身魚をゆでて布巾に包んでしぼり、骨を取り除きながらほぐす
- ほぐした魚を鍋に入れ、砂糖と酒で味をつけてそぼろにする(一部に食紅を加えてピンクにする)
- 食べやすい長さに切った糸こんにゃくをゆでて、から煎りし、だしと調味料で汁気がなくなるまで煮て冷ます
- こんにゃくを皿にこんもりと盛り、そぼろで覆う
- 仕上げにねぎとみかんの皮を飾る
宇和島の郷土料理店では、ふくめんを出しているところもあります。このページの下では、EHIME NOW に登録されているお店を紹介しています。取り扱いや営業時間は変わることがあるので、出かける前に各店の案内を確かめてください。
あわせて味わいたい宇和島の味
宇和島には、生の鯛の刺身を卵入りのタレごとご飯にかける宇和島鯛めしや、小魚を骨ごとすり身にして揚げるじゃこ天もあります。宇和海の魚を生かした南予の味を、あわせて味わってみてください。
参考にした情報
- 農林水産省「うちの郷土料理」ふくめん(つくり方の流れは同ページのレシピを参考に要点をまとめました)
