五色そうめんとは?江戸時代から松山で受け継がれる、白・茶・緑・赤・黄の彩りそうめん

白、茶、緑、赤、黄。ゆでて器に盛ると、色とりどりの麺が並ぶ「五色そうめん」は、江戸時代から松山で作り続けられてきた名物です。見た目の華やかさから、夏の食卓だけでなく、贈り物や手みやげとしても選ばれてきました。
店頭に飾られた五色そうめん(松山市、2009年) 撮影: David McKelvey / Wikimedia Commons CC BY 2.0
五色そうめんはどんな食べ物?
五色そうめんは、5つの色のそうめんをひとまとめにした松山の名物です。色は、もち麦、抹茶、梅、みかんを練り込んで出しています。
- 白:そうめん本来の色
- 茶:もち麦
- 緑:抹茶
- 赤:梅
- 黄:みかん
色ごとに練り込むものが違うので、ほんのりとした風味の違いも楽しめます。手延べの麺らしいコシと、なめらかな口当たりも特徴です。
1635年、松山で始まったそうめん
五色そうめんの歴史は、江戸時代の初めにさかのぼります。
1635年(寛永12年)、松山藩主・松平定行が伊勢の桑名から松山へ移ったとき、それに従って移り住んだ長門屋市兵衛が、松山でそうめん作りを始めました。
色のついたそうめんが生まれたのは、それから100年近くたった1722年(享保7年)です。八代目の長門屋市左衛門が、色のついた麺を作る技術を考え出しました。
椿神社で見た「五色の糸」
五色にするきっかけには、こんな言い伝えがあります。
八代目の娘が椿神社(伊豫豆比古命神社)にお参りに行ったとき、下駄に美しい五色の糸が絡みつきました。その糸の美しさから、そうめんを五色にしてはどうかと考えた――というものです。松山の人に「椿さん」と親しまれる神社の話が、名物の始まりに結びついているのも、五色そうめんの魅力のひとつです。
将軍にも、正岡子規にも
色鮮やかなそうめんは、江戸時代にはすでに評判になっていました。八代将軍・徳川吉宗がほめたたえ、朝廷からも、その色が唐の絹糸のようだと称えられたと伝えられています。江戸時代の終わりには、愛媛の民謡「伊予節」にも歌われ、その名が全国に広まりました。
明治以降も、松山ゆかりの俳人・正岡子規が、五色そうめんを句に詠んでいます。
いまは、五色そうめん株式会社(2022年に株式会社森川から社名を変更)が、この名物を作り続けています。
五色そうめんの建物(東温市南方) 撮影: CT-May / Wikimedia Commons CC0
どうやって食べる?
いちばんのおすすめは、夏に冷やして食べる食べ方です。ゆでたあと冷水でしめ、色ごとに分けて盛ると、器の中がぱっと華やぎます。
- 冷やしそうめん:色を分けて盛り、めんつゆで
- 温かいにゅうめん:寒い季節は、だしで温めても
- 祝いの席に:彩りがよいので、人が集まる日の一品にも
愛媛には、鯛とそうめんを組み合わせた祝いの料理「鯛そうめん」もあります。そうめんが、ただの夏の麺ではなく、祝いの席を彩る料理として大切にされてきたことが分かります。
どこで買える?
五色そうめんは、松山市内のみやげ物店や、市内の郷土料理店などで出会えます。色の組み合わせや詰め合わせの種類も多く、日持ちもするので、松山みやげとして選びやすい品です。
公式サイトによると、本社直売所(東温市南方2283-1)は9:00〜16:00、土日祝は休み(繁忙期は変更あり)。松山市三番町の郷土料理店「五志喜」では、看板の鯛そうめんに五色そうめんの彩りが添えられます。松山空港、JR松山駅、松山市駅の売店、県内の土産店やスーパーでも扱いがあり、イベント会場には2016年から五色そうめんのキッチンカーも出ています。
このページの下では、EHIME NOW に登録されているお店を紹介しています。営業時間や取り扱いは変わることがあるので、出かける前に各店の案内を確かめてください。
色は自然の素材だけ
五色そうめんの色は、人工着色料を使わず、練り込む素材そのものの色です。公式サイトの商品案内によると、梅は愛媛県松野町産の南高梅をペーストにしたもの、抹茶は愛知県産、もち麦は愛媛県産、柚子は四国産、伊予柑は愛媛県産を使っています。袋を開けたときに柚子や梅、みかんの香りがするのは、そのためです。
5色のほかにも色麺があります。クチナシで染めた淡い青の「水色そうめん」、黒ごまを練り込んだ「黒ごまそうめん」など、白・柚子・梅・伊予柑・抹茶・クチナシ・黒ごまの7色をクレヨン風の箱に詰めた「いろいろそうめん」は、2018年の松山ブランド新商品コンテストで金賞(松山市長賞)を受け、2017年と2019年には日本ギフト大賞の愛媛賞も受けています。
手延べ、十五の工程
公式サイトは製造工程を15の段階に分けて紹介しています。小麦粉に塩水を加えて30分ほど練るところから始まり、その日の天気・気温・湿度で塩水の濃さと加水率を変えます。生地を帯状にし、縒りをかけながら細くし、2本の棒に8の字に掛け、12〜35cm、さらに100〜200cmへと伸ばしていきます。
乾燥は「はた」に掛けて一昼夜と午前中4時間。水分を14%以下にしてから19cmに裁断し、一束ずつまとめます。最後は職人が一本ずつ目で見て、ゆがみや折れのある麺を取り除きます。手延べならではのコシとなめらかさは、この工程の積み重ねから生まれます。
おいしいゆで方のこつ
公式サイトが勧めるゆで方は、大きめの鍋にたっぷりの湯を沸かし、束をほどいてパラパラと入れ、箸でさばきながら約2分。ゆで上がったら手早くざるに上げ、冷水でしめてもみ洗いし、ぬめりを取ります。「ゆで置きは禁物」とあります。
色を混ぜずに盛りたいときは、束の端をタコ糸で結んでから湯に入れる方法が紹介されています。結び目以外がかたまらないよう箸でほぐしながらゆで、冷水でしめたあと結び目の手前で切り落とすと、色ごとにきれいに分かれます。にゅうめんや炒め物にするときは、少し硬めにゆでておくのがこつです。
参考にした情報
- 五色そうめん株式会社「五色そうめんの歴史」
- 松山市公式観光情報サイト「五色そうめん」
- 五色そうめん株式会社「五色そうめんができるまで」(製造工程、自然素材の色)
- 五色そうめん株式会社「おいしいゆでかた」
- 五色そうめん株式会社「五色そうめんの商品」(素材の産地)
- 五色そうめん株式会社「会社案内」(沿革・受賞)
- 五色そうめん株式会社「五色そうめん取扱店」
写真について
本文の写真は Wikimedia Commons の自由ライセンス作品で、各写真の下に撮影者とライセンスを記載しています。
