焼豚玉子飯とは?まかないから生まれた、今治のご飯・焼豚・半熟目玉焼き

今治の中華料理店でメニューを開くと、ラーメンや炒飯と並んで「焼豚玉子飯」があります。白いご飯に焼豚を敷き、その上に半熟の目玉焼きをのせ、焼豚の甘辛いタレを回しかけた一杯です。
構成はとても単純です。ご飯、焼豚、卵、タレ。それだけなのに、今治の人が学生時代から食べ続ける味になりました。
焼豚玉子飯(2015年4月撮影) 撮影: minato kaidou / Wikimedia Commons CC BY-SA 2.0
始まりは、調理人のまかない
今治焼豚玉子飯世界普及委員会の説明によると、焼豚玉子飯は約50年前、今治市内にあった中華料理店「五番閣」のまかない料理として生まれました。忙しい調理人が手早く栄養を取るために、半熟の目玉焼きと焼豚の切れ端を、焼豚の煮汁をかけて食べていたと伝えられています。
やがて独立した料理人が正式なメニューにしたことで、口コミで広がりました。とくに男子中高生の間で人気に火がつき、今治のソウルフードと呼ばれるようになります。
まかないが原点なので、提供が早いのも特徴です。注文から数十秒で出てくる店もあり、「旨い・安い・早い・ボリュームがある」が、そのまま人気の理由になっています。
まちおこしの料理として
2006年12月、市民有志が「焼豚玉子飯世界普及委員会」を結成しました。2010年の「尾道てっぱんグランプリ」での優勝を経て「今治焼豚玉子飯世界普及委員会」と改名し、今治のまちおこし団体として活動を続けています。
現在、焼豚玉子飯は市内約60店舗でメニュー化されています。店ごとに焼豚の厚さや部位、タレの濃さが違い、同じ料理とは思えないほど個性が分かれます。
今治市内の店の焼豚玉子飯(2013年9月撮影) 撮影: nhayashida / Wikimedia Commons CC BY 2.0
おいしい食べ方
食べ方に決まりはありませんが、委員会の「食べ方講座」(白楽天協力)では、レンゲで食べるのが通だとした上で、こんな手順を紹介しています。
- まず、黄身を崩さないように丼を半分に分ける
- 片側の黄身を崩して、焼豚・ご飯とよく混ぜて食べる
- 残りの半分も同じ要領で。好みでこしょうや酢、ラー油を足す
講座の結びは「食べ方はあなた次第」。自分に合う食べ方を見つけるのが、この料理の楽しみ方です。
黄身がタレとご飯をつないで、全体がまろやかになります。卵を最後まで崩さず、黄身だけを残して締めにする人もいます。目玉焼きを追加できる店もあるので、卵好きは注文時に聞いてみてください。
食べに行くときのポイント
- 今治市内の中華料理店・食堂を中心に、約60店で提供されています
- 昼どきは地元客で混み合います。回転は速い店が多いです
- 量が多めの店もあります。小盛りの有無を確かめると安心です
- 今治は鶏料理も名物です。今治焼き鳥やせんざんきとあわせて回ると、この町の食の幅が見えてきます
しまなみ海道のサイクリングの前後にも向いています。走る前ならご飯とタンパク質をまとめて取れますし、走ったあとの空腹にもよく合います。
このページの下では、EHIME NOW に登録されているお店を紹介しています。営業時間や定休日は変わることがあるので、出かける前に各店の案内を確かめてください。
発祥の店と、B-1グランプリの記録
愛媛県の公式観光サイト「いよ観ネット」は、今治市常磐町の「白楽天 今治本店」を発祥店として紹介しています。1970年創業で、先代店主が開業時に提供を始め、「元祖焼豚玉子飯」のタレは創業以来の継ぎ足しだとしています。
世界普及委員会は、最大72名の市民有志でつくるまちおこし団体です。初代会長が呉服店の主人だったことから、黄色い浴衣姿で宣伝する姿が知られるようになりました。B-1グランプリでの成績は委員会の「歴代受賞記録」に残っています。
- 2011年 近畿・中国・四国大会(姫路): ブロンズグランプリ(3位)。同年の全国大会(姫路)で5位
- 2012年 近畿・中国・四国大会(鳥取): ゴールドグランプリ(1位)。全国大会(北九州)でブロンズ
- 2014年 関西・中国・四国大会(府中): シルバー。全国大会(郡山)でブロンズ
- 2017年 西日本大会(明石): ゴールドグランプリ(1位)
- 2019年 全国大会(明石): 9位・審査員特別賞
「今治焼豚玉子飯」の名前は委員会が商標として管理しており(出願中)、今治市外の店がこの名でメニューに載せるには、今治の文化や歴史も学ぶ「今治焼豚玉子飯アカデミー」の受講と登録・契約が必要です。市内の店は無条件で入会できます。名前を守ることで、今治の料理であり続ける仕組みです。
家でつくるなら
委員会の「作り方講座」(大黒屋飯店協力)では、家で再現する手順をこう紹介しています。
- 丼にご飯をよそい、焼豚を好きなだけのせる(細切れでもスライスでもよい)
- タレを少しかける
- 目玉焼きを焼く。多めの油で、水を入れず、ふたもせず、白身だけに火を通して黄身は半熟に
- 目玉焼きに塩こしょうをしてご飯にのせ、もう一度タレをかける。好みでこしょうをたっぷり
タレは専用品も市販されていますが、濃口しょうゆ・みりん・酒を1:1:1で煮詰め、にんにくとしょうがを加え、砂糖と塩で甘さを調えれば家でもつくれる、と講座は説明しています。市販の焼き鳥のタレで代用してもよいそうです。
参考にした情報
- 今治焼豚玉子飯世界普及委員会「今治焼豚玉子飯の歴史」
- 今治焼豚玉子飯世界普及委員会 公式サイト
- 今治焼豚玉子飯世界普及委員会「歴代受賞記録」
- 今治焼豚玉子飯世界普及委員会「プロの味の作り方講座」
- 今治焼豚玉子飯世界普及委員会「プロが教える食べ方講座」
- 今治焼豚玉子飯世界普及委員会「商標について」
- いよ観ネット「必食!愛媛のB級グルメ」(発祥店の説明)
写真について
本文の写真は Wikimedia Commons の自由ライセンス作品で、写真の下に撮影者とライセンスを記載しています。特定のお店の商品写真ではなく、食べもののイメージをつかむための参考写真です。
