せんざんきとは?骨付きのまま揚げる、今治の人が祝いの席にも弁当にも欠かさない鶏の唐揚げ

今治の焼き鳥店で、締めにかならずといっていいほど頼まれるのが「せんざんき」です。見た目は鶏の唐揚げですが、ひとつ大きな違いがあります。骨が付いたまま揚げていることです。
せんざんきは、鶏料理が盛んな東予地方、とくに今治市周辺で親しまれてきた郷土料理です。祝いの席から運動会、毎日の弁当まで、今治の人の暮らしのあちこちに顔を出します。
今治市のせんざんき(2025年5月) 撮影: キアラア / Wikimedia Commons CC0
せんざんきはどんな料理?
いろいろな部位の骨付きの鶏肉を一口大のぶつ切りにし、醤油やしょうがなどで下味をつけてから、片栗粉をまぶして揚げます。
一般的な唐揚げとの一番の違いは、骨付きのまま揚げること。骨ごと揚げることで骨からうま味が出て、あらかじめつけた下味も加熱で一段としみ込みます。外はカラッと、中はしっかりと味がついた、食べごたえのある一品です。
始まりはキジ?名前の由来はいくつもある
せんざんきの始まりは、今から300年ほど前の江戸時代、今治の近見山で捕まえたキジを揚げ物にしたことだといわれています。ただし、はっきりした記録が残っているわけではなく、言い伝えとして語られてきました。
「せんざんき」という不思議な名前にも、いくつかの説があります。
- 鶏を丸ごと千に斬るように切り分けるので「千斬切(せんざんき)」
- キジを揚げた料理だったので「せんざん雉」
- 骨付きの鶏の唐揚げを表す中国語の発音がなまった
どれが本当かは分かっていませんが、どの説も「骨ごと豪快に切って揚げる」料理だったことを感じさせます。
今治に広まったのは戦後
いまのように今治の定番料理として広まったのは、戦後まもない頃だといわれています。今治に、せんざんきで評判になった店があり、それを目当てに長い行列ができたそうです。この頃から、今治地域にせんざんきが広がっていきました。
いつ食べる?
今治では、せんざんきは特別な日にも、ふだんの日にも登場します。
- 祝いの席などの行事には、必ずといっていいほど食卓に並ぶ
- 親戚や友人が集まるとき、子どもの運動会や遠足にも
- 毎日の弁当のおかずとしても定番
一年を通して食べられていて、焼き鳥店や居酒屋だけでなく、専門店や直売所でも買えます。持ち帰って家で食べる人も多く、「今治の家庭の味」といっていい存在です。
焼き鳥店では「締め」の一品
今治の焼き鳥店では、鉄板で焼いた鶏皮から始めて、最後にせんざんきで締めるのが今治流の頼み方として知られています。鉄板で押し焼きにする今治焼き鳥とあわせて味わうと、今治の鶏料理の楽しみ方がよく分かります。
家でつくるときの要点
材料がシンプルなので、家庭でもつくられています。つくり方の要点は次のとおりです。
- 骨付きの鶏肉を一口大のぶつ切りにする
- 薄口醤油、酒、しょうが汁、こしょう(好みでおろしにんにく)を合わせた下味に20分ほど漬ける
- 片栗粉をまぶし、中温の油で揚げる
骨付きの肉は火が通るのに時間がかかるので、揚げる温度が高すぎないように気をつけるのがコツです。家庭や店によって下味の配合は違うので、自分の好みの味を探すのも楽しみのひとつです。
このページの下では、EHIME NOW に登録されているお店を紹介しています。営業時間や定休日は変わることがあるので、出かける前に各店の案内を確かめてください。
参考にした情報
- 農林水産省「うちの郷土料理」せんざんき(つくり方は「えひめ郷土料理物語」〈愛媛県観光協会 渡邊笙子氏監修〉のレシピを参考に要点をまとめました)
- 農林水産省「うちの郷土料理」今治焼き鳥
写真について
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