さつま(さつまめし)とは?焼き魚と麦味噌をすり合わせて麦飯にかける、南予の漁師めし

南予の郷土料理店で「さつま」を頼むと、味噌汁のような器と、麦飯が出てきます。汁をご飯にかけてかき込むと、焼いた魚の香ばしさと麦味噌の甘みが一度に広がる。宮崎の冷や汁に似ていますが、魚を焼いてすり合わせるところが南予流です。
地域や家庭によって「さつま」「さつまめし」「伊予さつま」「さつま汁」と呼ばれます。
松山市内の店で提供された伊予さつま汁の定食(2008年3月撮影) 撮影: Yamaguchi Yoshiaki / Wikimedia Commons CC BY-SA 2.0
どんな料理?
材料は、麦味噌、だし汁、白身魚、麦飯です。
焼いた魚の身をほぐし、すり鉢で麦味噌と一緒にすり合わせ、魚の骨からとっただしでのばす。これを温かい麦飯にかけて食べます。麦味噌のやさしい甘みがあるため、見た目よりもまろやかで、喉ごしよく食べられます。
農林水産省の「うちの郷土料理」では、八幡浜市をはじめ南予地方一帯の郷土料理として紹介されています。
魚は「白身魚」に限らない
「白身魚を使う」と説明されることが多いのですが、実際に使う魚はかなり幅があります。
タイのほか、コズナ(赤アマダイ)、エソ、アジ、カマス、ヒメチ、ボラ、イワシ、その他の雑魚。山間部ではイリコや、コイ・フナ・ハヤといった川魚を使うこともあります。つまり、その土地で手に入る魚をおいしく食べるための料理です。
名前の由来には諸説ある
なぜ愛媛なのに「さつま」なのか。農林水産省は、次のような説を挙げています。
- 薩摩国(鹿児島県)から伝わったという説
- だし汁がなじむように、茶碗のご飯を十字に切った見た目が、薩摩藩・島津家の家紋に似ているという説
- 夫が妻を助けてつくる(妻を補佐する)という意味の「佐妻」からという説
どれが本当かははっきりしていません。由来が一つに定まらないところも、家庭料理らしいところです。
麦飯をおいしく食べる工夫から
宇和島市や愛南町など県南西部では、昔は麦飯がよく食べられていました。ぱさぱさしがちな麦飯をおいしく食べるための工夫が「さつま」であり、漁師が舟の上で食べたとも伝えられています。だから別名を伊予さつまといいます。
暑い時期でもさらさらと食べられるため、食欲が落ちる夏の一品としても親しまれてきました。
つくり方の要点
- 魚を焼き、熱いうちに身をほぐす
- すり鉢に麦味噌と魚の身を入れてすり合わせる
- 身をほぐしたあとの骨でだしをとり、すり鉢に加えてのばす
- 薄く味をつけたこんにゃくを短冊切りにする
- 洗いねぎ、みかんの皮のみじん切りを好みで添え、温かい麦飯にかける
きゅうりを具に入れる家庭もあります。味噌の量、だしの濃さ、薬味の組み合わせは家ごとに違うので、「正解」は一つではありません。みかんの皮を少し入れると、愛媛らしい香りが立ちます。
いま食べるなら
手間がかかるため、家庭でつくられることは少なくなり、いまはもっぱら郷土料理店で出される料理になっています。宇和島や八幡浜など南予の郷土料理店、旅館、松山の郷土料理店などで出会えます。
持ち帰って試したい場合は、土産品店や高速道路のサービスエリアで、パッケージ商品や具材・だしのセットが売られています。
じゃこ天や宇和島鯛めしと並べて頼むと、南予の魚の使い方の幅がよく分かります。
このページの下では、EHIME NOW に登録されているお店を紹介しています。営業時間や定休日は変わることがあるので、出かける前に各店の案内を確かめてください。
参考にした情報
- 農林水産省「うちの郷土料理」さつま(愛媛県)(つくり方は「えひめの郷土料理100選」〈愛媛県観光協会〉のレシピを参考に要点をまとめました)
写真について
本文の写真は Wikimedia Commons の自由ライセンス作品で、写真の下に撮影者とライセンスを記載しています。特定のお店の商品写真ではなく、料理のイメージをつかむための参考写真です。
