三津浜焼きとは?牛脂とちくわ、削り粉で焼く松山・港町のお好み焼き

松山の港町・三津浜には、この土地だけのお好み焼きがあります。クレープのように薄く焼いた生地に、味をつけた麺を重ね、最後に半月の形に折りたたむ「三津浜焼き」です。
大阪のように具を混ぜて焼くのでもなく、広島のようにそのまま円く仕上げるのでもない。焼く順番も、形も、使うものも三津浜流です。
三津浜焼き(2024年6月撮影) 撮影: CT-May / Wikimedia Commons CC0
三津浜焼きの特徴
松山市の公式観光サイトは、三津浜焼きの特徴として次の点を挙げています。
- 港町ならではの「魚のけずり粉」と「ちくわ」を必ず使う(紅白のちくわが多い)
- 味の決め手は「牛脂」。生地や野菜に脂が溶け出して、甘みとコクが出る
- 薄くクレープ状に焼いた生地の上に麺をのせる「台付き」のつくり
- 仕上げは半月型の二つ折り
ちくわは焼くことでほどよい弾力とだしが出て、味に深みを足します。半月に折るのは、小さな鉄板を無駄なく使うため、持ち帰りやすくするため、と説明されています。
広島のお好み焼きとどこが違う?
麺を入れるところは広島と共通です。違うのは、焼く順番と仕上げ方です。
三津浜焼きでは、麺を鉄板で焼くときに先に味をつけます。生地にキャベツと一緒に重ね、溶き卵の上にのせてひっくり返し、半分に折る。この手順のため、出来上がりは半月の形になります。麺の味付けには三津浜の醤油を使った醤油ダレが定着しており、麺を入れるようになったのは30年ほど前だといわれています。
由来は大正時代の「一銭洋食」
三津浜焼きのルーツは、大正時代の「一銭洋食」までさかのぼるといわれています。水で溶いた小麦粉を焼き、刻みねぎなどをのせてソースをかけた、その時代の子どものおやつです。
三津浜は江戸時代から続く港町で、松山の海の玄関口として人と物が行き交ってきました。安くて腹が満ちる鉄板の味が根づき、店ごとに工夫を重ねながら今の形になっていきました。
編集部から:広島のお好み焼きにも負けていません
正直に書くと、編集部の推しはかなり強めです。麺入りのお好み焼きといえば広島、という人にこそ一度食べてほしい。牛脂の甘みと削り粉の香り、ちくわのだしが重なって、三津浜焼きには三津浜焼きのおいしさがあります。
どちらが上かという話ではなく、別のおいしさがもう一つある、というのが正確なところです。松山に来たら、鯛めしや鍋焼きうどんと並べて候補に入れてください。
食べに行くときのポイント
- 三津浜地区にはお好み焼きの店が点在しています。食べ比べて好みの味を見つけるのが楽しみ方です
- 麺はそばかうどんを選べる店が多く、そばなら香ばしく、うどんならもちっとした食感になります
- 昼どきは混み合うことがあります。持ち帰りに対応する店もあります
- 松山市中心部でも三津浜焼きを出す店があります
三津浜へは、松山市駅方面から伊予鉄道高浜線で三津駅へ。港町の町並みや「三津の渡し」とあわせて歩くと、この焼き物が生まれた土地の空気が分かります。
このページの下では、EHIME NOW に登録されているお店を紹介しています。営業時間や定休日は変わることがあるので、出かける前に各店の案内を確かめてください。
文化庁の「100年フード」に
2022年3月、三津浜焼きは文化庁の「100年フード」に認定されました。地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を、国が選んで紹介する制度です。松山からは北条鯛めしも同時に認定され、地元の「三津浜焼き推進プロジェクト」は同じ年の8月に認定記念のスタンプラリーを開いています。
このプロジェクトは2016年に東京のイベントへ出展し、2018年には「全国ご当地こなもんサミットin三津浜」を開催、以後もスタンプラリーや投稿キャンペーンで三津浜焼きを広めてきました。大正時代の一銭洋食から続く味が、まちおこしの柱になっています。
専門店は三津浜地区に20軒ほど
松山市の公式観光サイトは、三津浜地区に20軒程度の専門店があるとし、食べ歩きをする観光客もいると紹介しています。同サイトの説明では、小麦粉をクレープ状に伸ばして魚粉を振りかけた生地に、キャベツ、ちくわ、肉、魚、卵、そばなどを挟み、甘辛いソースをたっぷりかけて食べる、ソースの焦げた香ばしさが食欲をそそる、とあります。
店によって生地に使う小麦粉を数種類ブレンドしたり、小麦粉を溶くだしの配合を変えたりと、同じ三津浜焼きでも一枚ごとに違いがあります。半月に折る理由も、小さな鉄板を無駄なく使うためという説と、持ち帰りが多かった名残という説があり、店の人に聞いてみると話が広がります。
参考にした情報
- 松山市公式観光情報サイト「港町生まれ、ダシのきいた松山ソウルフード『三津浜焼き』」
- 松山市公式観光情報サイト「三津浜焼き」
- 松山市公式観光情報サイト「三津浜焼き」(専門店の数、作り方の説明)
- 三津浜焼き推進プロジェクト(100年フード認定、こなもんサミット、スタンプラリー)
写真について
本文の写真は Wikimedia Commons の自由ライセンス作品で、写真の下に撮影者とライセンスを記載しています。特定のお店の商品写真ではなく、食べもののイメージをつかむための参考写真です。
