いもたきとは?里芋を河原で炊いて月を見る、愛媛の秋の行事ごはん

愛媛の秋は、川からやってきます。8月の終わりから10月にかけて、河原にテーブルと提灯が並び、大きな鍋で里芋を炊く。それが「いもたき」です。
東北の芋煮とよく似ていますが、愛媛のいもたきは醤油味のだしで炊き、鶏肉や生揚げが入ります。何より、会場が川の河原であることが、この料理をただの鍋ではなく「秋の行事」にしています。
秋の季節メニューとして提供されたいもたき(2025年10月撮影) 撮影: かほっち / Wikimedia Commons CC0
いもたきはどんな料理?
主役は里芋です。これに鶏肉、生揚げ、しいたけ、こんにゃくなどを合わせ、だしで甘辛く炊きます。仕上げに白玉粉の団子を入れることもあります。
里芋はあらかじめ皮をむき、少量の塩で下茹でをしておく。生揚げは一口大に切って油抜きをする。鶏肉を炒めてから里芋と生揚げを加え、だし汁で煮込む――農林水産省の「うちの郷土料理」では、こうした手順が紹介されています。
味付けは醤油ベースで、汁ごと温かいうちに食べます。里芋のとろりとした食感に、鶏と生揚げのうま味がしみた、素朴で満足感のある鍋です。
発祥は大洲。350年以上前の「お籠り」から
いもたきの発祥は大洲市とされています。加藤家が藩主を務めていた350年以上前、「お籠り」と呼ばれる親睦の行事でふるまう鍋に、各自が地元の里芋を持ち寄ったのが始まりだと伝えられています。
昭和41年(1966年)には市の観光事業になり、河川敷で月を眺めながら里芋を味わう催しとして定着しました。最盛期には年間7万人以上が訪れたといいます。
いまでは県内全域に広がり、南予地方を中心に10か所以上で開かれる、愛媛の秋の風物詩になっています。
河原で食べる、という楽しみ
いもたきの醍醐味は、会場そのものにあります。
- 川のそばに座敷やテーブルが設けられ、鍋が運ばれてくる
- 夕暮れから提灯に灯が入り、月を見ながら食べる
- 家族、職場、友人同士など、大勢で囲むのが基本の形
会場によっては、いもたきに加えて地元の料理や飲み物が付くプラン、団体向けの座敷などが用意されています。多くの会場が予約制で、期間も限られます。行く前に、その年の開催情報を確かめてください。
大洲・松山・西条、それぞれの会場
愛媛のいもたきは、地域によって川も味も少しずつ違います。EHIME NOW では、代表的な3か所について、その年の開催期間・料金・予約方法・アクセスをまとめています。
- 大洲のいもたき ― 発祥の地。肱川の河原で、初煮会から秋の観月会まで
- 松山・出合のいも炊き ― 重信川の出合橋下。松山市内から行きやすい会場
- 西条のいもたき ― 加茂川会場と中山川会場の2か所。開始時期が早いのが特徴
どの会場も、予約の締め切りや当日の受付方法が決まっています。リンク先で、その年の日程と連絡先を確認してから出かけてください。
家でつくるときの要点
いもたきは、家庭でもよくつくられます。学校給食や家庭科の授業にも登場し、若い世代にも受け継がれています。
- 里芋は皮をむき、少量の塩で下茹でしてぬめりを取る
- 生揚げは一口大に切って油抜きをする
- 鶏肉を炒め、里芋・生揚げを加えてだしで煮込む
- 醤油・砂糖などで甘辛く味を調え、好みで白玉団子を加える
里芋の下処理をていねいにすると、汁が濁らず、味もよくしみます。庭やベランダで食べるだけでも、少しだけ河原の気分が出ます。
このページの下では、EHIME NOW に登録されているお店を紹介しています。営業時間や定休日は変わることがあるので、出かける前に各店の案内を確かめてください。
参考にした情報
写真について
本文の写真は Wikimedia Commons の自由ライセンス作品で、写真の下に撮影者とライセンスを記載しています。特定の会場の写真ではなく、料理のイメージをつかむための参考写真です。
