道後ビールとは?道後唯一の酒蔵・水口酒造がつくる4種類のクラフトビール

道後温泉本館のすぐそばに、ビールを醸す蔵があります。つくっているのは、明治28年(1895年)創業の水口酒造。日本酒「仁喜多津」の蔵元が、1996年から手がけているのが「道後ビール」です。
湯から上がって、そのまま一杯。温泉地ならではの飲み方ができるのが、このビールのいちばんの魅力です。
松山市内で販売されている道後ビール(2011年7月撮影) 撮影: Kanatam... / Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0
4種類と、その愛称
道後ビールは4種類あり、それぞれ夏目漱石の小説『坊つちやん』にちなんだ愛称が付いています。
- ケルシュ ― 坊っちゃんビール
- アルト ― マドンナビール
- スタウト ― 漱石ビール
- ヴァイツェン ― のぼさんビール
「のぼさん」は、松山出身の俳人・正岡子規の愛称です。松山の物語と人物が、そのままラインナップの名前になっています。
ビールの種類としては、ケルシュは軽快、アルトは銅色で麦の甘みとコクがあり、スタウトは黒く香ばしい、ヴァイツェンは小麦を使った柔らかな風味――というのがそれぞれの系統です。飲み比べると、同じ蔵でこれだけ違うのかと驚きます。
1996年に始まった、道後の地ビール
水口酒造は1996年6月にビール製造免許を取得し、同年8月に販売を開始しました。同じ年の11月には、道後温泉本館の隣にビールレストラン「道後麦酒館」を開いています。
2000年のジャパン・ビア・グランプリでは、スタウト(漱石ビール)が金賞、アルト(マドンナビール)が銀賞、ケルシュ(坊っちゃんビール)が銅賞を受けました。
道後ビールの仕込みタンク(2011年7月撮影) 撮影: Kanatam... / Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0
じゃこ天と合わせる
道後麦酒館の定番の組み合わせが、道後ビールとじゃこ天です。
小魚を骨ごとすり身にして揚げたじゃこ天は、塩気と魚の香りが強く、炭酸と苦みのあるビールとよく合います。とくに、麦の甘みがしっかりしたアルト(マドンナ)と合わせると、双方の後味が整います。
道後麦酒館のアルトタイプ「マドンナ」とじゃこ天(2006年8月撮影) 撮影: Hyougushi / Wikimedia Commons CC BY-SA 2.0
どこで飲める・買える?
- 道後麦酒館(道後温泉本館の隣)― 蔵元直営のビールレストラン
- 道後の飲食店・宿 ― 取り扱いのある店で提供
- 水口酒造の直営店や公式オンラインショップ ― 瓶で購入できます
公式オンラインショップでは、330ml瓶が715〜770円、995ml瓶が3,300円、6本セット4,730円、8本セット5,940円で扱われています(2026年9月時点)。土産にするなら、4種類が入ったセットが分かりやすい選び方です。
道後温泉の前にある道後麦酒館(2011年7月撮影) 撮影: Kanatam... / Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0
営業時間や取り扱い商品、価格は変わることがあります。出かける前に、各店や公式サイトの案内を確かめてください。
なお、お酒は20歳になってから。車や自転車を使う日は飲まないでください。
4種類だけではない。「道後エール」と限定ビール
定番の4種類のほかにも、水口酒造は道後の名を付けたビールを増やしてきました。公式オンラインショップには、地元の柑橘を使った「道後エール」の紅まどんな・岩城ライム・柚子、ホップの香りを立てた「湯あがりIPA」、そして醸造開始から30年にあたる2026年の記念限定「フルーツケルシュ」が並んでいます(2026年9月時点)。定番4種に限定を加えた「のみくらべ6本セット」もあり、土産にはこれが分かりやすい選び方です。
ビール以外にも手を広げています。会社沿革によると、1999年に発泡酒、2005年に焼酎、2019年にスピリッツ(ジン)の製造免許を取得し、「道後焼酎」「道後ジン」も造っています。道後温泉の湯あがりに合う一杯を、ビール以外でも用意しているわけです。
蔵の歩みと、飲める場所の広がり
水口酒造の沿革を追うと、道後ビールが温泉街にどう根を下ろしたかが分かります。
- 1895年(明治28年): 創業。清酒「仁喜多津」の醸造を始める
- 1996年: ビール製造免許を取得し道後ビールの醸造を開始。道後温泉本館の向かいに「道後麦酒館」、蔵の横に和食レストラン「にきたつ庵」を開く
- 2003年: 蔵元ショップ「にきたつ蔵部」を開く
- 2016年: 水口酒造の主屋が国の登録有形文化財(建造物)になる
- 2017年: 「道後麦酒館 別館」を飛鳥乃湯泉の前に開く
- 2022年: 蔵元直売店兼カフェバー「道後一会」を開く。酒蔵・ビール工場の見学も受け付けている
直営店は、道後温泉のすぐ隣のタップルーム「道後BEER BAR」(道後湯之町20-13)、「道後一会」と「にきたつ蔵部」(道後喜多町3-18)です。取扱店は、道後湯之町の土産店や道後のコンビニのほか、松山空港・松山観光港・JR松山駅の売店、松山三越、いよてつ高島屋、エミフルMASAKIなど。東京でも丸の内の「シン・エヒメ」と新橋の「香川・愛媛せとうち旬彩館」で手に入ります(直営店・取扱店一覧、2026年9月時点)。
酒造りの仕込み水には、石鎚山・高縄山系の伏流水を使っていると蔵は説明しています。
参考にした情報
- 水口酒造 公式オンラインショップ「道後ビール」(種類・価格)
- 道後麦酒館(水口酒造)会社情報(創業年・沿革)
- Wikipedia「道後ビール」(免許取得・発売の時期、受賞歴)
- 水口酒造 公式オンラインショップ「会社案内」(会社沿革)
- 水口酒造 公式オンラインショップ「直営店・取扱店一覧」
- 水口酒造 公式オンラインショップ「水口の想い」(仕込み水、道後エール・道後焼酎・道後ジン)
写真について
本文の写真は Wikimedia Commons の自由ライセンス作品で、写真の下に撮影者とライセンスを記載しています。特定の商品の宣伝写真ではなく、雰囲気をつかむための参考写真です。
